任天堂がマジコン輸入・販売業者を一斉提訴した「不正競争防止法」ってなんだろう?

自分の中で携帯ゲーム機といえば
初代ゲームボーイで「ポケモン(赤)」をした時代で
ストップしています。(挨拶)

そんな時代遅れな私の家にも最近遂にやってきた
ニンテンドーDS」ですが、(ゼルダの伝説が難しいです。)
なんだか、結構な大事のようで。


ニンテンドーDS用機器に対する法的措置について(任天堂)
任天堂、ついに「マジコン」を輸入または販売している複数の業者を一斉提訴(GIGAZINE)


内容をかいつまんで説明すれば、
ダウンロードしたコピーソフトを遊んだり、音楽や動画が再生できる「マジコン」
と呼ばれる機器を輸入、販売している複数の業者を任天堂と多くのゲームメーカーが訴えた、
というもの。


任天堂ニュースリリースによれば

これらの機器により、インターネット上の違法アップロードサイト等から入手した本来ニンテンドーDS上では起動しないはずのゲーム・プログラムの複製物が、起動可能となるため、当該機器の輸入・販売等の行為により、当社およびソフトメーカー各社は極めて大きな損害を被っており、

不正競争防止法に基づいて、輸入・販売行為の差止等を求める

とのことですが、
ここで「不正競争防止法って何だろう」と思ったので
自分のためにメモ。


そんなわけで経済産業省の資料を見てみたり。
不正競争防止法説明資料経済産業省

ざっくりまとめるとこんな感じ

法律の目的

 この法律の目的はまさに名前のままで
  「不正な競争をやめさせる。不正なことした奴等からは損害賠償とっていいよ。」
というものです。しかしながら、ここで疑問に思うこととして、
マジコンを売ることが「不正競争」なのかということです。
ということなので次は「不正競争の定義」を確認します。

不正競争の定義

不正競争について、上記の経済産業省資料では9つの定義をあげています。

  1 周知な商品等表示の混同惹起
  2 著名な商品等表示の冒用
  3 商品形態の模倣
  4 営業秘密の侵害
  5 技術的制限手段を解除する製品等の販売
  6 ドメインネームの不正取得
  7 原産地、品質等の誤認惹起表示
  8 信用毀損行為
  9 代理人等の商標冒用行為

以上をみると任天堂が提訴の理由としたものはおそらく
「5技術的制限手段を解除する製品等の販売」
であろうと思います。

これは


「技術的に視聴や記録、複製が制限されているコンテンツの視聴や記録、複製を可能にするものは売ったりしては駄目」


ということであり、これを今回の提訴にあてはめると


「技術的にニンテンドーDSソフト以外のソフトはプレイできないようになっているのに、それを可能にしているマジコンを売っては駄目」


ということで十分「不正競争」だ、というのが任天堂の主張なのでしょうか。
では「不正競争」である場合、どんな罰則があるのでしょうか?

不正競争に関する措置

「5技術的制限手段を解除する製品等の販売」に関しては
刑事上ではなく、以下のような民事上の措置をとることができるそうです。
経済産業省資料より引用)

差止請求権(3条)
○損害賠償請求権(4条)
○損害額の推定等(5条等)
○書類提出命令(7条)
○営業秘密の民事訴訟上の保護(10条等)(秘密保持命令、訴訟記録の閲覧制限、非公開審理)


ちなみに任天堂が求めているのは輸入・販売の「差止請求」のみです。


私なんかは「なぜ損害賠償を求めないのかなー」と思ったり
最初はしていたんですが、資料をよんでみると、、
結構損害賠償額の推定に手間取りそうです。

 ・侵害行為による損害額を推定して
 ・相当な損害額の認定をしてもらって

ということで結構損害額を出すのは骨な作業に思います。


なので「輸入・販売の差止」一本に絞って提訴したのではないでしょうか。

まとめ

そんなわけでついに任天堂が動きだしたわけなんですが、
不正競争といっても色々あるんだなあと勉強になりました。
そして任天堂本気だな。


また上記内容について、あくまでも私自身が調べたことですので、間違い等あると思います。
その際は平にご容赦ください。


うーん、法務系ブログでこの件に言及されているところをちょっと探してみようかなあ…。